廃句の真意
植物は 一期一会だ すぐに買え
いつの間にか私の代名詞と化している俳句廃句です。
欲しいと思ったらまず買いましょう!
です。
読んで字の如くです。
これを座右の銘に生きていますが、この言葉が生まれた裏側をご紹介しようと思います。
なぜ一期一会なのか?
食虫植物ってホームセンターとか園芸店とかいろんなお店で見たことあるし、売り切れたら補充されるだろうし「そんなの大袈裟でしょ〜」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実はこの「一期一会」にはいろんなパターンがあります。
一期一会パターン①:レア品種との思わぬ出会い
これは愛好家の方であれば一番よくあるパターンでしょう。
池袋サンシャインで行われるらん展や2年に1回兵庫県立フラワーセンターで行われる食虫植物祭など、食虫植物のイベントに足を運んでみると…
「写真でしか見たことない欲しかった品種が売られてるじゃないか!!」
なーんてこと、あると思います。
でも買おうかどうか悩んで結局買わないってこと、ありますよね?
ここで私の経験談をお話ししましょう。
遡ること数年、私はとある食虫植物のイベントに足を運んでおりました。
目当てのモノとかは特になく、せっかくだし行ってみようかくらいの感覚でおりました。
会場で物色していると目に飛び込んできたのは
Nepenthes ventricosa cv.Kishino
ナニソレ?と言う方のために軽く解説しますと、メチャクチャ入手困難なウツボカズラです。
薄黄緑のベースカラーに透き通ったピンクのリップ、ボンキュッボンドッシリとしながらも繊細な袋を持つベントリコーサ(ウツボカズラの一種)のクイーンと言っても過言ではないでしょう。
(この品種は今後別記事で起こしたいと思っています)
もともと憧れの品種として認識はしておりましたが、まさか手に入る機会がこんな近くにあるとは思わず、若干不意打ちをくらったような感覚を覚えました。
で、お値段に目をやると
n万円
この品種は栽培されてる個体数も少ないですし上記の通り流通も滅多にありません。
こう言った品種モノのウツボカズラの増殖は挿し木でしか行えないので、その栽培個体が大きくならないと増殖チャンスもありません。
しかも挿し木したとしても成功するとは限らないし、せっかく大きく育てた株をまた小さくすることになってしまいます。
そりゃ当然のお値段です
そんなモノがあるとは思わず来ていたので、持ち合わせが足りませんでした。
最近はキャッシュレス対応の出品者様も増えましたが、当時はほとんど現金オンリーだったのもあり買うにはATMで引き出してこないといけません。
最寄りのコンビニまで往復10分…
「今日は一度帰ってまた明日来たついでに寄って下ろして買えばいいか。なかったらなかったで残念だったっということで」という思考になり、その場で買いませんでした。
この一瞬の判断により、私は長い間モンモンとすることになったのです
まあ当然翌日に残ってるはずがないんですよね。
売れちゃってました。
まあ「残念でしたと思うことにしよう」とその直後は思っていたのですが・・・
SNSやブログを見てるとときどき出てくるんですよ…
魅力あふれるNepenthes ventricosa cv.Kishinoの画像たちが…!
やっぱり自分の手で育てて立派な袋を拝みたい…!
その気持ちはどんどん強くなるも、そもそも入手機会がない…
あの時あの往復10分をめんどくさがらなければ!!
この後悔がずっとついて回りました。
その後幸いなことに入手機会に再び恵まれ、念願かなって入手することができましたが、それはこの出来事から数年後の話でした。
数年あれば立派な袋たくさん拝めたかもしれないのに…
もしかしたら何かしらの拍子で流通が完全に途絶えてしまい、二度と手に入らない可能性もあったかもしれません。
時は戻せないからこそ、後悔しない一瞬の判断が必要だと学んだ出来事でした。
一期一会パターン②:いきなり手に入らなくなる可能性
最近ホームセンターとかで食虫植物よく見ますよね?
あれ、ずっと同じ品種が置かれているとは限らないというのはご存知でしょうか?

こちらのサラセニア、数年前の夏にとあるホームセンターで買いました。
褐色系の色が特徴で、とても強健でよく育つ園芸品種です。
3年前まで普通にお店で見かけました。
そう、3年前までは…
2年前の夏頃から急にお店から姿を消したのです。
理由は業者の中の人ではないのでわかりませんが、このように当然のように手に入ると思っていた品種が急に買えなくなることもあります。
「気になるけど、いつでも買えるし後でいいか」と考えていると、思わぬ後悔に見舞われる可能性もあるのです。
一期一会パターン③:一点モノ
上記2つのパターンは元々流通があるけど、その機会が限られる、もしくは急に手に入らなくなり、その機会に二度と恵まれなくなるかもしれない。というパターンでしたが、こちらは本当に二度とない(いろんな意味で)一番危ないパターンです
例えばハエトリソウ、一口に「ハエトリソウ」と言っても実はさまざまな個体差が存在し、よく見てみるといろんな特徴があります。
いわゆる「まつ毛」の部分がやたら長かったり、どでかいトラップをつけたり、緑と赤のコントラストに違いがあったり…
「おっ、この色合いといいカタチといい、なんかイイかもな」と思ったら即確保しましょう。
培養であればもしかしたら同じ個体に出会える可能性もあるかもしれませんが、実生個体や変異個体だった場合本当にその1点だけかもしれません。
だから私のハエトリソウ置き場溢れかえってるんですけどね
大事なのはその選択に後悔しないこと
ここまで書いてきましたが、当然ながら「買う」と言う行為はお金を消費します。
一瞬の判断を求められながらも悩んだ場合、最後の最後はやはりここで判断するようにしています。
実は最近あったパターンなのですが、とある品種を3万円で買ったのですが、その後ヤフオクで同じ品種が出品され、2万円くらいで終了していました。
でも私は3万円を支払った選択にこれっぽっちの後悔もありません。
「この個体には3万円出しても自分で育ててみたいと思う価値がある」と納得して買っているからです。
逆に避けといた方がいいのが、レア品種だからと適当に買い漁る行為です。そこに愛はあるんか?
所有欲は満たせるかもしれませんが、そこに愛がなければ長続きしないでしょう。
そういう植物って難易度が高いこともよくあるので、結局枯らしてしまいかえって後悔することもあるかもしれません。
その植物を買う・買わないことによって数年後考えられる後悔
これが一番ない選択をするのが大事だと思います